産後の授乳期にも葉酸が必要な理由と摂取方法
産婦人科に行っても妊娠中や妊娠前は葉酸はすすんで摂取するように言われますよね。
葉酸は通常の食事からでは必要充分な量がとれないので、
サプリメントでの補給が大事になってきます。
よくこの時期の妊婦さんには葉酸は必要になる栄養素として多くの方がご存知だと思います。
しかし、産後も葉酸はとても大事な栄養素で必要になるんです。
しかしながら、こんな方もおられます。
産後も葉酸が必要って言われたけどなぜ?
こんな疑問を持っていらっしゃるママさんが意外と多いんです。
それは、『産後のママさんにとって本当に必要な理由』をちゃんとまとめた情報がないからなんです。
このページでは、産後のママさんにとって葉酸が必要な本当の理由を分かりやすくまとめてみましたので、読んでみて下さいね。
産後に葉酸が必要な本当の理由
産後の母体にとって葉酸が必要な理由は、大きく分けてこの2つになります。
- 赤ちゃんの成長と病気予防のため
- ママの身体を妊娠・出産のダメージから回復させるため
これから産後のママさんと赤ちゃんにとって葉酸が必要な本当の理由を
赤ちゃんの目線から見た要素とママさんの身体の健康維持の目線から見た要素に分けてご紹介して行きます。
それでは、この2つの角度から見た葉酸が必要な理由を一緒に見て行きましょう。
赤ちゃんの成長と病気予防から見た葉酸の必要性
葉酸は、赤ちゃんの成長と病気予防から見てもとても大切な栄養素です。
というのも、葉酸は細胞の増殖と分裂を促す栄養素のうちのひとつだからです。
そして、同時に免疫力を向上させる働きもあるので、葉酸を他の栄養素と共にバランスよく摂る事がとても大切になるんですね。
赤ちゃんにとって母乳が『命の泉』とも言われているのは聞いた事がある方もいらっしゃるかも知れませんが、それは母乳の中にママさんの優しさを凝縮したような栄養素が詰まっているからなんです。
母乳は、葉酸やビタミンC、またはカルシウムや鉄分など様々な栄養素がしっかり摂れる万能栄養食なんですよ。
しかしながら、ママさんの中には『母乳を出さなきゃ!』と思ってしまうあまり、出なくなってしまう方もおられます。
実は、ここで考えて欲しい事があります。
妊娠から出産、そして産後の授乳期よりも、その後の赤ちゃんと一緒に過ごす時間の方がはるかに長いという事なんです。
母乳が順調に出ない事を気に病んでしまってママさんが健康を害してしまうようでは、そちらの方が赤ちゃんにとってはかわいそうな事なんですよ。
現在は、母乳と同じくらいに赤ちゃんに必要な栄養素を摂れるようにしたミルクもあります。ですので、あまり深刻に悩まないようにしなければいけません。
そして母乳が順調に出ているママさんは、母乳の質を向上、維持するためにも、ある意味で妊娠中以上に葉酸が必要になるのが産後なんですよ。
産後の授乳中のママの身体にとっての葉酸
産後のママさんの身体のためにも、葉酸はとても大切な栄養素になります。
安産だった方は、あまり感じておられないかも知れませんが、妊娠から出産は、医療が発達した今でもリスクが付き物です。
母体の妊娠中の栄養状態が良くなったと言われている現在でも、万が一のリスクを排除するために帝王切開で出産されるケースがあります。
また現在では、妊娠中の赤ちゃんや母体の健康状態が非常に良く分かるようになり、予定で帝王切開を選択するケースもあります。
ある統計調査では、現在でも全部の出産のうち19.2%が帝王切開によるものなんだそうです。
また、自然分娩でも産後に子宮が少しずつもとに戻ったり、産道が少しずつ通常時の大きさに戻るための産褥期(さんじょくき)というものがあり、この時期は決して無理をしてはいけません。
このように、ママさんの身体にとって妊娠から出産は、ダメージも重なる大仕事なんですね。
先ほど軽く触れましたが、葉酸には細胞増殖による新陳代謝促進や、免疫力向上、維持の働きもあり、出産の疲れやダメージからママさんの身体を修復する栄養素と言えるんですね。
それに加えて、先ほどの赤ちゃんの成長や免疫力向上のための母乳の質と量を向上させるためにも産後の葉酸は大切な栄養素になります。
もちろん、葉酸だけではなくカルシウムや鉄分、ビタミンCなどの他の栄養素も大切になりますが、葉酸には『造血ビタミン』と言われている側面もあり、特に重要な栄養素なんですよ。
産後の抜け毛対策にも葉酸が必要
それと、もうひとつ重要な要素として、産後の抜け毛に悩まされる方もおられます。
この理由は一般的には、ホルモンバランスが妊娠前の状態に戻りつつある『変化の過渡期』にある事が原因と言われています。
しかしながら、本当にそれだけが原因だと思いますか?本当はそれだけが原因ではありません。
産褥期(さんじょくき)にあるママさんにとって命を左右する大切な臓器や子宮、骨といった身体の根本の部分の修復が優先して行われるため、髪の毛にまで栄養が回らないという側面の方が大きいんですよ。
妊娠線にも葉酸?
また、妊娠後期に妊娠線が出来てしまったという方にも、肌のダメージを修復するために葉酸は大切な栄養素になります。
繰り返しになってしまいますが、葉酸は細胞増殖の役割もある『ビタミンM』の別名もある栄養素です。
出来てしまった妊娠線にも効果的と言われる専用の妊娠線クリームの多くが、葉酸が配合されているのは、こういった理由からなんですね。
他の栄養素との関わりから見た葉酸
ここまで、産後のママさんと赤ちゃんから見た葉酸の重要性について見て来ました。
その中でカルシウムや鉄分、ビタミンCといった他の栄養素も登場してきたので、そちらについても簡単にご紹介しますので、一緒に見て行きましょう。
カルシウム
カルシウムは、葉酸がママさんの身体にスムーズに吸収されるためにも大切な栄養素です。
ご存じのとおり骨を作るための大切な栄養素でもあり、ししゃもなど小魚のように頭から食べられる魚を食べるように言われますよね。
これは、葉酸や他のビタミン類を身体の中でちゃんと機能させるためでもあるんですよ。
鉄分
鉄分は、ママさんの身体にも赤ちゃんの身体にとっても大切な栄養素です。
というのも、せっかく身体に吸収した栄養素も血液の中で鉄分と一緒に結びついて身体のいろいろな部分に運ばれてこそはじめて本来の働きを果たせるからです。
産後のママさんで、栄養不足から悪性貧血に悩まされる方もおられます。これは葉酸によって作られた血液の質が良くないために起こる現象なんですね。
また、鉄分には非ヘム鉄とヘム鉄の2種類があり、ビタミンCと結びついて体内の吸収されるヘム鉄の方が、大切です。
緑黄色野菜には、鉄分が多く含まれていますが、それらは吸収率が低い非ヘム鉄なので、ビタミンCを一緒に摂って吸収率を高める事がポイントです。
ビタミンC
ビタミンCは、実は葉酸と同じくらいママさんの身体にとって大切な栄養素。というのは乳腺の発達を促してくれる働きがあるからです。
妊娠から出産までの期間で大量にビタミンCを消費してしまっているママさんの身体は、初産の方では母乳の出が悪くなってしまいやすいんです。
その理由は、おっぱいの中の乳腺が充分に発達しきれていないからです。
母乳の原料になるのはママさんの血液で、その質と量を上げるために葉酸は大切な働きをしてくれますが、それだけでは充分ではない理由がビタミンC不足にもあるんですね。
産後に葉酸が必要な本当の理由のまとめ
産後のママさんに葉酸が必要な本当の理由を、ここまで長くお話してしまいましたがいかがでしたか?
妊娠中に産婦人科の先生に『葉酸をサプリも利用してしっかり補って下さいね。』と言われても、産後のママさんでは、葉酸を積極的に摂る事をやめてしまわれる方も多いんです。
それは、冒頭でも触れましたが、『産後のママさんにとって葉酸が必要な本当の理由を分かりやすくまとめた情報』が不足していたためとも言えます。
産後のママさんにとって葉酸が必要な理由は、赤ちゃんに母乳をあげるためでもあり、
ママさんの身体をこれから元気に成長していく赤ちゃんを見守るために健康を維持するためのものでもあります。
他の栄養素も葉酸と一緒にバランスよく摂取する事が大切という点から見ると、食事から摂る事も大切ですが、それでも不足する分についてはサプリも利用して、質・量ともに満足な摂り方をするのが大切なんですね。
最後に葉酸の過剰摂取を気にされる方もおられると思いますので、葉酸じたいの性質についても軽く触れておきたいと思います。
葉酸の性質について
葉酸は、水溶性ビタミンの一種で、過剰摂取については心配する必要のない栄養素です。
後ほど、葉酸の摂取量についてはご説明しますが、
産後も妊娠中よりは少なくなりますが葉酸は必要です。
また、普通の食事で食べる野菜では、理想的な形の葉酸を摂ることができません。
というのも、葉酸には2つの形があるんです。
- プテロイルモノグルタミン酸型葉酸
- ポリグルタミン酸型葉酸
この2つの形の葉酸があり、
前者の“プテロイルモノグルタミン酸型葉酸”が糖や脂肪から切り離された『純粋な葉酸』と言える理想的な形の葉酸です。
後者のポリグルタミン酸型葉酸というのは、普通の食事で摂れる葉酸で、糖や脂質と結びついた形の葉酸です。
そして、実際の葉酸摂取量に換算すると、ポリグルタミン酸型葉酸は、プテロイルモノグルタミン酸型葉酸に対して約2倍の量を摂らなければなりません。
なぜかというと、糖や脂質と結びついた形のポリグルタミン酸型葉酸を摂ると、
身体の中で脂質や糖と切り離され(これを“遊離”といいます)純粋な葉酸になるのは先ほども言いましたが、
その過程の中で、純粋な葉酸としての働きや機能が低下する“ロス”が発生します。
このような、葉酸としてのロスが発生しないために、すでに糖や脂肪から切り離された『プテロイルモノグルタミン酸型葉酸』を直接摂ることができる
葉酸サプでの葉酸摂取リが理想的と言われるのはこういった理由があるからなんですね。
産後の授乳期に必要な葉酸サプリの摂取量
妊娠中に必要になる量よりも少ないのですが、厚生労働省が推奨しているのは、1日に340マイクログラム(μg)。
妊娠中の葉酸の必要な摂取量が480マイクログラム(μg)だったことを考えると、比較的少ない感じがするかも知れません。
ですが、妊娠前の通常時の成人女性の葉酸摂取量が240マイクログラム(μg)となっており、
わたし達日本人の葉酸の平均摂取量が、およそ270ugと言われており、普通の食生活をしていれば葉酸が不足することはありません。
葉酸の摂取量は、繰り返しになりますが、
妊娠中は480μg。
産後の授乳中は340μg。
となっていますから、一般的な通常時の葉酸摂取量では明らかに不足してしまうんです。
葉酸の働きは、お腹の中の赤ちゃんの細胞分裂を助け、血液の中にある赤血球を骨髄で作る働きがあります。
葉酸が不足すると、巨赤芽球性貧血、神経障害や腸機能障害などが起こるということが判明しています。
産後の授乳中に葉酸が不足すると、母乳の原料になる血液の質が落ちたしまうため
赤ちゃんの発育に影響が及んでしまう危険性が高くなってしまうんですね。
もちろん、授乳中の育児は母乳だけではなく、ミルクと母乳併用の方や完全にミルクの方もおられます。
最近では、市販の粉ミルクでも葉酸入りが当たり前になりつつあります。
赤ちゃんも葉酸が必要なのは、わたし達大人と変わりないからです。
まして、赤ちゃんは汗っかきで水分をたくさん飲みますし、わたし達大人のように食べものやサプリからの葉酸摂取ができないからです。
唯一の栄養源である母乳やミルクに葉酸が入っていないと、貧血や血液の質の低下につながります。
これと同じように、産後も必要摂取量というものが存在します。
産後に葉酸が必要になるのは、造血効果、母乳への栄養、出産によってダメージや疲労を貯めてしまっている
子宮の回復など、産後になっても重要な成分であるという事でもあるんです。